敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
一体誰だろう? 編集部に知り合いは少ないはずなのに、さっぱり思い当たらなかった。



そんな不安を抱えたまま翌日。彼が我が家に連れてきてくれたのは、後任を務める女性――吉川さんだった。

もうすぐ出産のはずだが、お腹は小さいままだ。

「え……まさか、赤ちゃんが……」

最悪のパターンを想像してぶるぶるしていると、彼女は「ああっ違うんです、みどり先生。ごめんなさい、実はですね――」と私をソファに座らせた。

「私、妊娠していないんです」

「へ?」

なぜ? どうして? そんな疑問符が頭を駆け巡る。

正面のソファに腰を下ろした吉川さんが申し訳ない顔で事情を切り出した。

「妊活しているのは本当なんです。いつ子どもを授かるかわからないので、この先も急に担当を離れることがあるかもしれません。私がいついなくなっても問題ないように、こんな試すようなことを……本当に申し訳ありませんでした」

私は「あー……」と納得したような声を漏らしながら自身の行いを振り返る。

数日間なにも食べずに行き倒れかけたことがあったっけ。あの頃は吉川さんがいなければ生きていけないほど依存していた。

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