敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
その日は出版社に戻る予定だったが、不安がる彼女を放ってはおけなくて、自宅に留まることを選択した。編集長と通話で今後の対策を練る。

《っていうか、どうして石楠花先生が誓野くんの家にいるの? ホテルに行ったんじゃなかったの?》

編集長が怪訝な声をあげる。吉川さんと違って、俺たちが付き合っているのかもなんて疑問はなさそうだ。

「北桜出版懇意のホテルなんてマスコミに居場所を教えているようなものですよ。それに、石楠花先生をひとりにしておくのは心配です。……かなりショックを受けているようでしたので」

《ああ……まあ作家は繊細っていうからね、誰かがそばにいた方が安心かもしれない。変に思い詰めて間違いでもあったら大変だ》

『間違い』――おそらく編集長は最悪の場合を心配しているのだろう。

翠さんに落ち度はないが、自分のせいでこうなったと責任を感じずにはいられない。

その危うさを編集長もわかっている。限界まで思い詰め、自身を傷つけでもしたら大変だ。

「絶対に間違いなど起こさせません。彼女も、彼女の名誉も、俺が守ります」

受話口からふっと息を吐くのが聞こえる。おそらく安心したのだ。

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