敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
「また石楠花みどりを名乗る女性および故意に虚偽の情報を流した人物に関しましては、すでに身元が判明しており、名誉棄損による刑事告訴、及び損害賠償請求を検討しております」

刑事告訴という単語に再び会場が騒がしくなる。つまり石楠花みどりは被害者であり、本件はゴシップではなく刑事事件になるわけだ。

そこまで聞いていなかった私は、笑顔の裏で呆然としていた。

え、告訴? 私、裁判に出なきゃならないの?

ちらりと目線を誓野さんに向けると、彼が目で大丈夫と合図をくれた。

ああ、たぶん告訴はパフォーマンスだ。というか、裁判に持ち込んだとしても示談程度で済ませるつもりなのだろう。

石楠花みどりは被害者だとマスコミにわかりやすく知らしめる必要があったからこういう言い方をしただけだ。

潔白を証明しネガティブな印象を払拭した上に、ここまで話題に挙がれば、次回作は間違いなく注目を浴びる。映画化も堂々とゴーがかけられるって寸法だ。

その後の質疑応答はそれなりに荒れたが、誓野さんが方向性を示してくれたからなんとでも応えられた。

< 153 / 188 >

この作品をシェア

pagetop