敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
コンコンとノック音が響いた。部屋のドアを誰かが叩いている。おそらく彼だけど――開けたくない。
あんな告白まがいの暴露をしてしまって、合わせる顔がない。
彼にだけじゃない。出版社にもとんでもない迷惑をかけてしまった。
なにしろ、これまで秘密にしてきた石楠花みどりの正体をばらしてしまったのだから。プロモーション戦略もご破算だ。
彼にも編集部にも読者にも申し訳が立たない。勢いに任せて浅はかなことをしてしまったと自覚している。
新作が売れなかったらどうしよう。
そもそも出版できなかったらどうしよう。
契約解除で違約金とか請求されちゃったらどうしよう。ファンから詐欺で訴えられたらどうしよう。
そんな恐怖でぐるぐるしていると、ガチャリと鍵の開く音がした。
そういえば彼、スペアキーを持っているんだっけ。
仕方なく布団から出て彼の姿を目視すると、すぐにベッドの上で正座をして頭を地に――正しくはシーツに擦りつけた。
「申し訳ございませんでした」