敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
武士のようにいっそ切腹して詫びたい。誓野さんは「どうして謝るの?」と尋ねながら、ベッド脇に腰を下ろした。

「私が余計なことをぶちまけてしまったばかりに多大なるご迷惑を。これまで皆さんで築き上げてきた石楠花みどりのイメージがズタボロだし、あれならホスト通いって噂されてた方がまだよかったのかも……」

シーツにしがみついていると、頭の上に手が降ってきた。

それが撫で撫でと後頭部をスライドしていくものだから、いたたまれなくなって顔を上げる。

まだスーツ姿の彼が、穏やかな表情でこちらを見下ろしていた。

「結果論にはなっちゃったけど、翠さんの回答、そんなに悪い印象じゃなかったみたいだ。あのあとも好意的な質問が続いたよ。まあ、編集長がうまいことフォローしてくれたってのもあるけど」

「フォロー、ですか?」

「編集長が謝罪してくれたんだ。作品のイメージ作りの一環として、翠さんが自立した女性に見えるよう出版社が指導していたって。本当は純粋に文学を愛する、素朴な女性だと説明した」

ああ、と絶望的な気分になった。私が途中で抜け出したせいで、編集長がすべてを被ることになってしまった。

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