敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
ご飯は香り豊かなサフランライス。こちらも米びつの脇に置いてあったサフランを使わせてもらった。

勇さんがおそるおそるカレーを口に運ぶ。

咀嚼したあと「すごくおいしい……!」とかみしめるように呟いて、二口、三口と続けた。

「昨日までほとんど料理しなかった人がいきなりスパイスからカレー作れちゃうってどういうことなんだ……?」

「検索したら簡単動画とかいっぱいありましたよ」

「それにしたって、翠さんって実は器用だよね。やろうと思えばなんでもできちゃうんだろうな」

仕事の優先順位が高すぎてなかなかやろうとは思わないのが難だ。

お料理しているこの時間があったらワンシーン書き上げられると思うと、つい机に行ってしまう私だったけれど――勇さんの優先順位はまた別。

「おいしいって言ってくれるなら、毎日――は無理でも、たまには作ろうって思うかも」

おずおず切り出すと、彼はくすっと苦笑した。

「じゃあ、たまに頼もうかな。ご褒美のときとか、誕生日のときなんかに」

「お任せください」

きゅっとスプーンを握り込んで応える。

彼は穏やかに私も見つめたあと、さっそく会社での出来事を話してくれた。

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