敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
「営業妨害の目的もあったらしい。神宮司先生は翠さんの新作の発売日に被せて、南梅社の文芸レーベルから新作を出す予定だったそうだ。売上であなたを上回って、復讐を果たしたかったのかもしれない。南梅社とは直接話をつけて、神宮司先生の新作は出版中止になった」

そんな卑怯なやり方で売上を立てようなんて、レーベルとしてもNGだったのだろう。

勇さんはひと通り説明し終えると、スプーンを置いて私に向き直った。

「どうする? 神宮司先生と偽者の石楠花みどりを訴えれば、損害賠償請求もできるけど」

「……それって、私も裁判に出廷しなきゃいけないんですよね? 面倒です。小説を書いていられればあとはどうでもいいので」

「そういうと思ってた。オーケー、示談で片づけるよ」

でも示談はするんだ……と心の中で思いつつ、まあ後腐れなく済ませてもらえるのが一番と納得する。

「神宮司先生の悪事は業界には知れ渡ったし、もうどこの出版社からも新作は出してもらえないだろう。社会的制裁を存分に受けることになると思うよ」

ぎょっとして彼を覗き見る。穏やかな笑みの中に闇が垣間見えた気がした。

「……勇さん、根に持ってます?」

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