敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
「私も相談しようと思っていたんです。……もうマスコミに追いかけられることはないと思うから」

ここにいる必要はなくなった。でも、ここにいたい新しい理由もできた。

「だったら、翠さんがここに住む理由を作らなくちゃね」

思考を先回りして、彼がソファの隣に座り、私の背中に手を伸ばす。

肩を抱かれ、ぴとっと頬をくっつけられて胸が疼いた。

「翠さんはこの家が好き? それともマンションの方が楽?」

そんな質問を投げかけながら、私を抱き寄せてホールドする。どんな答えでも逃がしはしない、そんなニュアンスが伝わってくる。

「……好きですよ。この家。マンションよりずっと素敵だと思う」

「じゃあ決まりだね。次の休みの日に荷物を持ってこよう。祖母の家が広くてよかった」

とんとん拍子に、願う通りに話が進んでいく。

「そんなに簡単に決断しちゃっていいんですか? 同居ってことですよ?」

「同棲、だよ」

彼がにっこりと笑って訂正する。

「一緒に暮らすからには、ちゃんと家事を分担して――」

私が考え込むと、彼は「そんなに堅苦しく考えなくても」と覗き込んできた。

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