敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
結局、新作『大正浪漫恋謳・花薫る風の便りに』はすぐに重版が決まり大ヒット。
二版目の帯には会見の言葉を引用し【私がしてきた恋愛は、すべてこの中に詰まっています】の文字。恥ずかしいのでやめてほしい。
さらには写真集も発売されてしまい、こちらも重版。
帯には【まだ男を知らない女流作家(ピュアレディ)】。誰だこんなキャッチコピーを考えたのは。本当にやめてほしい……!
そしてこの日、私と勇さんは文京区にある甘味処に来ていた。
『新作が完成したら、一緒にお団子食べに行きませんか?』――その約束をとうとう果たしに来たのである。
パーテーションと観葉植物に囲まれた半個室のテーブル席に、店のおばちゃんが注文したお団子を持ってきてくれる。
「実は私、九年くらい前にここでお団子を食べたんです。小説が賞をもらったお祝いをして」
私が話しかけるとおばちゃんは「ああ! あのときの作家のお嬢ちゃんね」とすぐに気づいて嬉しそうに笑った。
「有名になったんだってね。すごいわあ」
「お団子のご利益がありました」
おばちゃんがにこにこ顔で色紙を持ってくる。サインをすると「ここに飾っちゃおうかしら」と店の一番目立つ壁に貼ってくれた。