敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
追い返すこともできず、マンションのエントランスの扉を解錠した。

慌ててガウンを羽織り、寝ぐせだらけの髪を結んで――昨日彼からもらった髪飾りがこんなところで役立つとは――なんとかごまかし玄関で彼を出迎える。

彼は私の格好を見て、苦い顔で幻滅――するかと思いきや、不思議とノーリアクションだった。

彼が喋り出す前に、まず言い訳させてもらう。

「実は夕べ、遅くまで作業していたものですから、今起きたばかりで」

「起こしてしまいましたか? それは申し訳ないことを――」

「いえっ、それは大丈夫なのですが。お見苦しい格好で申し訳ない限りで」

必死に弁解する私だが、誓野さんは涼しい顔で「その点はまったく」と否定して、手に持っていた紙袋を掲げた。

「昼食を持ってきました。先生、お忙しいとすぐにお食事を抜くと聞いたので」

確かに私は集中すると食への興味が薄れがちだ。気がついたら何食も抜いていて、低血糖になって倒れたこともある。

以来、吉川さんが食事の面倒を見てくれていたのだが――。

「休みの日なのに、わざわざ食事を?」

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