敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません！～干物女な小説家は容赦なく激愛される～

「俺は休みでも、先生はずっと書き続けているんだろうなと思ったので」

誓野さんが困ったような笑みを浮かべて言う。

オフなのに私のことを気にしてくれたんだ……不思議と胸の奥がきゅっと縮んだような、甘い息苦しさを覚える。

「俺はこれで帰りますので、あまり根を詰めずにしっかり休息を取ってください。それと――」

ふと言葉を切って私を見つめる。あまりにも真っ直ぐな眼差しを向けられ、追い打ちをかけて息が詰まった。

「俺はその格好の方が好きです」

「へ？」

思わず声が裏返る。この格好って、寝間着姿が？　まさかいやらしい意味では――。

「ど、どどどういう」

「いえ、変な意味ではなく」

彼があまりにも冷静に否定するものだから、ちょっと恥ずかしくなった。

「着心地がよさそうだったので。その格好の方が意外と執筆も捗るかもしれませんよ。騙されたと思って試してみてください」

ぽかんと口を開けたまま「わかり、ました……」と頷く。

そりゃあ、この格好が集中できるのは私が一番理解しているけども。

「髪留めも使ってくれているんですね」