敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
なんとなく、いつまでも私の面倒を見てくれるような気がしていたのだ。

でも、当然だけどそういうわけにはいかないわよね。吉川さんには吉川さんの人生があるもの。私もいい加減、自立しないと。

「……わかりました。吉川さんがいなくても家事ができるよう精進します」

「それについては大丈夫です。家事のできる後任を選びますんで」

「そんな人います? いや、家事ができる方はたくさんいるでしょうけれど、家事をしてくれる奇特な編集者なんて吉川さんくらいかと……」

「それなんですけどね、みどり先生。ひとつご提案があって」

吉川さんが人差し指を立てる。

「適任がいるんですが……次の担当、男性でもかまいませんか?」

「は……?」

彼女の言葉に凍りついた。男性が私の家に来て、ご飯を作ったり掃除をしてくれたりするってこと?

「無理です」

そもそもひとり暮らしの女性の家に男が入っちゃダメだろう。



***



そして今があるわけだが。

翌日からは言われた通り、すっぴんと眼鏡姿で仕事をしている。

< 31 / 188 >

この作品をシェア

pagetop