敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
当然のように私の荷物を運んでくれる彼。申し訳ない気持ちと、少しの嬉しさと、彼を頼もしく思うキラキラとした感覚が胸の奥で混ざり合う。

それはカヲルが、献身的に世話してくれる奉公人の〝彼〟に抱く感情と近いだろう。

こうやって感情を主人公にリンクしていけと言っているのね。

「あなたの作品を待っている方が大勢いるんですから。やれるだけやってみましょう」

彼がこちらに向けて微笑む。さりげないその笑顔が眩しくて、今までにない感情が私の中で生まれるかもしれないという期待が湧いた。

「……わかりました。誓野さんをモデルにさせていただきます」

そうだ。なりふりかまっていられるような状況じゃない。私を八年も応援してくれている人たちが待っているんだ。

最高の物語を届けるためにも、可能性のあるものはすべて試してみないと。

それにしても――。

「誓野さんには驚かされてばかりです。急に恋人になれだとか、一緒に暮らすだとか。理由をすっ飛ばして結論を先に言うんですもん。まるで英文を読んでいるみたい」

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