敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
一八〇センチを軽く超える長身。バランスの取れた骨格に、逞しさと優雅さを併せ持つしなやかな肉体。顔は極上の二枚目。

私の担当をするよりモデルとして雑誌に出た方が稼げるんじゃないかと思うくらい整ったルックスをお持ちである。

「食べましょうか。僭越ながら、ご一緒させていただきますね」

誓野さんがエプロンを脱いで正面のチェアの背もたれにかける。

エプロンの下はシンプルな白シャツ。まくった腕から上質な筋肉が覗く。そしてスラックスからは脚の長さがいやみなく伝わってくる。

至極シンプルな着こなしなのに、色気が爆発していて眩暈がした。

きちんと留めた襟からすらりと伸びる首筋。サイズの合ったシャツは、体つきが丸わかりで、肩からウエストまでのラインは逆三角形を描いている。

……そもそも、男のくせに色気があるってなんなのかしら。

そりゃあ文章上では〝色気の漂う男〟なんて書き方もするけれど、たいがい得体の知れない不敵さを表現するための形容であり、官能小説でもない限り直接性欲には結びつかないものだが。

彼はストレートにセクシーだ。現実でその表現に相応しい人を初めて見た。

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