敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
そう思ったら、書かなきゃいけない気がして、うずうずしてきた。
「そろそろおしまいでもいいですか? 冷えてきたので」
写真も充分撮れただろう、あれだけシャッターを切ったのだから使えるものがあるはずだ。
「じゃあ、最後に一枚だけ撮らせてください」
誓野さんがカメラを構える。しかし彼はすぐにはシャッターを切らず、カメラを少し離してこちらに向き直った。
「……文京区にある甘味処のご婦人が、八年前、小柄で元気な作家の卵が、お団子を食べに来たと言っていたんです。それって翠さんのことですか」
唐突に尋ねられ、パチリと大きく目を見開く。
文京区にある甘味処……それってもしかして文豪団子のことだろうか? 確か私が北桜小説大賞を受賞したって大騒ぎした、あの――。
思わずあはははと大きな声を上げて笑った。そんな情報、どこから仕入れてきたんだろう。
「はい、それ、私です!」
受賞の知らせに浮かれきった私は、あのあとお店のおばちゃんや常連さんたちと一緒に緑茶や団子を食べてどんちゃん騒ぎをした。
懐かしくなって頬が緩みきったところで、誓野さんがシャッターを切る。
「そろそろおしまいでもいいですか? 冷えてきたので」
写真も充分撮れただろう、あれだけシャッターを切ったのだから使えるものがあるはずだ。
「じゃあ、最後に一枚だけ撮らせてください」
誓野さんがカメラを構える。しかし彼はすぐにはシャッターを切らず、カメラを少し離してこちらに向き直った。
「……文京区にある甘味処のご婦人が、八年前、小柄で元気な作家の卵が、お団子を食べに来たと言っていたんです。それって翠さんのことですか」
唐突に尋ねられ、パチリと大きく目を見開く。
文京区にある甘味処……それってもしかして文豪団子のことだろうか? 確か私が北桜小説大賞を受賞したって大騒ぎした、あの――。
思わずあはははと大きな声を上げて笑った。そんな情報、どこから仕入れてきたんだろう。
「はい、それ、私です!」
受賞の知らせに浮かれきった私は、あのあとお店のおばちゃんや常連さんたちと一緒に緑茶や団子を食べてどんちゃん騒ぎをした。
懐かしくなって頬が緩みきったところで、誓野さんがシャッターを切る。