敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
「クライマックスの盛り上がりがお見事です。ただの恋愛物語じゃ終わらない人間ドラマがある。石楠花みどりが恋愛小説を書いたらこうなるのだと、読者も納得して楽しんでくれるでしょう」

「よかった……!」

これで安心して作品を世に送り出すことができる。

胸を撫でおろしていると、不意に彼が微笑を浮かべた。

「どうしたんです?」

「いえ。最初に比べて恋愛描写のリアリティがぐんと増したなと思って」

「誓野さんのおかげです」

「……翠さんは俺のことをこんなふうに見てくれたんですね」

彼のひと言でハッとする。

数々の恋愛描写は、誓野さんへ抱いた感情をありのまましたためたもの。もはや彼への恋心を綴ったと言っても過言ではない。

「や、あの、それは――」

恥ずかしすぎる……!

どう言い訳しようか悩んでいると、彼は「すみません、茶化すつもりじゃなかったんですが」と苦笑した。

「作家は生々しい感情を人に伝えなきゃならない。恥ずかしがっていたら成り立ちません」

彼の言う通り、あらゆる感情を生々しく文章に込めることで、読んでいる人の共感を呼び、心を揺さぶることができるのだ。

< 64 / 188 >

この作品をシェア

pagetop