敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
「寝顔、見せないんじゃなかった?」

「勇さんも隣で寝てください。どっちが先に眠れるか、勝負です」

「仕方ないなあ」

くすくすという笑い声が聞こえてくる。

なにも本気で眠るつもりはない。少しうとうとするだけだ。湾先生の言う『まどろむ』って、そういうことだもの。

でも、勇さんはきっと疲れているから――いつも私より遅く寝て、私より早く起きるから、たまにはのんびり昼寝してくれたらいいと思う。

……勇さんの寝顔、ちょっと見たいし。

そんなことをぼんやりと考えて眠った振りをしていたら、慣れない早起きをしたせいか不覚にもそのまま眠りに落ちてしまい、目を覚ましたときにはすでに勇さんは起きていて、昼食の支度は終わっていた。



夕飯こそはと私が作らせてもらった。

メインディッシュは和食の定番・肉じゃが、そして焼き魚。それから、長皿の上に出汁巻き玉子をのせて、上からネギと大根おろしをかける。油揚げと三つ葉のお味噌汁も。

あまりにも久しぶりに料理をしたものだから、並行で作業をする感覚が思い出せず、ずいぶんと時間がかかってしまった。

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