敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
「おろし金、結構大変なんですよね、手が疲れて」
「電動のおろし器、買っておけばよかったな」
そうしみじみ言って玉子焼きを食べる。
「……そういえば『料理が嫌い』って、知ってたんですね」
先ほどの言葉を思い出し苦笑する私に、彼はしまったという顔をした。
「いえ、いいんです。勇さんは吉川さんの後任ですもんね。そのあたりの情報も全部引き継ぎされていて当然ですし」
勇さんが「ごめん」と苦い顔をする。
「でも今日は嫌いな料理もそこまで嫌な気分じゃなかったですよ」
ぽつりと漏らした私に、彼は握った手をテーブルの上にのせたまま息を呑んだ。
「誰かのために作りたいって、目的がはっきりしていましたし。まあ、自分のために作る気はないので毎日の習慣にはならないと思いますけど」
自分のために時間をかけて料理を作りたいとは思えないけれど。
誰かに食べてもらう機会があるなら――勇さんが食べたいと言ってくれるなら、また作ってもいいなと思う。
「意外と悪くないですね、食べてくれる人がいるっていうのは」
「電動のおろし器、買っておけばよかったな」
そうしみじみ言って玉子焼きを食べる。
「……そういえば『料理が嫌い』って、知ってたんですね」
先ほどの言葉を思い出し苦笑する私に、彼はしまったという顔をした。
「いえ、いいんです。勇さんは吉川さんの後任ですもんね。そのあたりの情報も全部引き継ぎされていて当然ですし」
勇さんが「ごめん」と苦い顔をする。
「でも今日は嫌いな料理もそこまで嫌な気分じゃなかったですよ」
ぽつりと漏らした私に、彼は握った手をテーブルの上にのせたまま息を呑んだ。
「誰かのために作りたいって、目的がはっきりしていましたし。まあ、自分のために作る気はないので毎日の習慣にはならないと思いますけど」
自分のために時間をかけて料理を作りたいとは思えないけれど。
誰かに食べてもらう機会があるなら――勇さんが食べたいと言ってくれるなら、また作ってもいいなと思う。
「意外と悪くないですね、食べてくれる人がいるっていうのは」