敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
そう漏らして肉じゃがを食べる。ちょっと煮込みすぎてお野菜がくたくたになってしまったけれど、しっかりと味が染み込んでいる。

手間をかけるかいはちゃんとあるんだなと納得した。

「カヲルの気持ちの検証にはなった?」

「そうですね。カヲルの場合は好きな人に食べてもらうご飯ですから、なおさらだったと思います」

「……翠さんは、違うの?」

「え?」

不意に尋ねられ、咄嗟に答えられなかった。勇さんがどんな返事を求めているのかがわからなくて。

さすがに同じと言ったら――好きなんて言ったら迷惑だろうし。

でも真剣な顔の勇さんは、その言葉を望んでいるようにも見えるから、余計にわけがわからない。

「――ああ、恩人への感謝という意味では近いかもしれませんね」

そう言ってごまかすと、彼はゆっくりと目を閉じて、納得したような顔をした。

「……ありがとう。本当に」

彼が再び料理を食べ始める。一瞬答え方を間違えたかなと心配になったけれど、彼はすぐに表情を明るくして「うん、焼き魚もいい具合に焼けてる」と頷いたので安心した。

私が支度を頑張った代わりにと、彼が後片付けを引き受けてくれた。

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