敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
こうして家事を分担して暮らすのは悪くないかもしれない。
……いや、分担するからではなく、誰かのためにする家事だから楽しみが生まれるんだ。
ひとりが気ままで一番、パートナーなんていらない、ずっとそう思っていたのに。
今、勇さんがいなくなったら私は寂しいと思ってしまいそうだ。
その日の夜。勇さんを部屋に招いて肩を揉ませてほしいと願い出ると、彼は猛烈に拒否した。
「いや、だって。肩を揉ませるなんてできないよ」
「無礼講だって言ってるじゃありませんか。労わらせてください」
「だとしても、年下の女の子に肩を揉んでもらうなんて無理だ」
「勇さんが引っかかっているのは、年下って方ですか? それとも女だから? 作家だから?」
「全部。翠さんの細くてか弱い指は力仕事に向いてない。だいたい痛めたりしたらどうするんだ、指は作家の命なのに」
そう言われてしまうと引き下がるしかない。言葉に詰まると、彼は慌ててフォローを始めた。
「俺はそれなりに筋肉もあるから肩は凝らないよ。つらいのは毎日着物を着て動きづらい翠さんのはずだ」
「私はもう凝りすぎてよくわからなくなっちゃってるので――」
……いや、分担するからではなく、誰かのためにする家事だから楽しみが生まれるんだ。
ひとりが気ままで一番、パートナーなんていらない、ずっとそう思っていたのに。
今、勇さんがいなくなったら私は寂しいと思ってしまいそうだ。
その日の夜。勇さんを部屋に招いて肩を揉ませてほしいと願い出ると、彼は猛烈に拒否した。
「いや、だって。肩を揉ませるなんてできないよ」
「無礼講だって言ってるじゃありませんか。労わらせてください」
「だとしても、年下の女の子に肩を揉んでもらうなんて無理だ」
「勇さんが引っかかっているのは、年下って方ですか? それとも女だから? 作家だから?」
「全部。翠さんの細くてか弱い指は力仕事に向いてない。だいたい痛めたりしたらどうするんだ、指は作家の命なのに」
そう言われてしまうと引き下がるしかない。言葉に詰まると、彼は慌ててフォローを始めた。
「俺はそれなりに筋肉もあるから肩は凝らないよ。つらいのは毎日着物を着て動きづらい翠さんのはずだ」
「私はもう凝りすぎてよくわからなくなっちゃってるので――」