敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
同時に『そんな重要人物を私の担当なんかにしないでください!』と泣きを言ったものだ。

「いずれ北桜グループの代表になるとか。作家の世話なんてしなくてもいいのでは?」

北桜グループは、北桜出版を中核として、映画や音楽、ゲームなど様々な会社を運営するエンターテインメント企業だ。

業界トップで、その名を知らない人間はいないのではと思うほど名が通っている。

そんな会社の未来を背負う人間が、こんなところで料理を作っていていいわけない、と思うのだけれど……。

すると、誓野さんは組んだ手をテーブルに置き、「いいですか、石楠花先生」と神妙な顔で切り出した。

「『石楠花みどり』はうちの出版社で最も売上を叩き出すナンバーワン作家です。書籍だけじゃない。映像化やグッズ販売、イベントなど、メディアミックスは多岐に渡る。『石楠花みどりプロジェクト』は、北桜グループすべてを巻き込んだ一大事業だ」

一応それらしい自覚はあって、ぐっと喉を鳴らす。

デビュー作『信長の右腕』が大ヒット。期待の若手作家として注目を浴びた。

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