敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
そのことに一度気づいてしまうと、どんなに魅力的な女性が目の前に現れたとしても惹かれるとは思えなかった。
彼女への想いは恋とか愛とかそんな甘ったるいものではないが、隣に並ぶなら彼女がいい。きっと彼女でなくては満足できない。
そんな中、部署異動の話が持ち上がった。
これまで総務部や人事部、法務部、企画室など経営に近い場所で経験を積んできたが、一度はゴリゴリの出版業務――かつては父が所属していたこの会社の原点ともいうべき文芸編集部に行かないかと打診されたのだ。
配属初日。文芸編集部に赴くと、インターンでも世話になった吉川さんがいた。
「誓野さんは好きな作家さんとかいらっしゃいます? もしご希望があれば担当としてつけるよう調整しますけど」
文芸編集部のオフィスを案内しながらそう尋ねてきた吉川さんに、俺は素直に答えた。
「……石楠花みどり先生。ですが彼女は吉川さんが専属で担当しているんですよね?」
大御所作家・石楠花みどりと吉川ペアの話は有名だ。これまで、このふたりでとんでもない売り上げを叩き出してきた。
その成果が認められ、吉川さんは編集特別賞も受賞している。
彼女への想いは恋とか愛とかそんな甘ったるいものではないが、隣に並ぶなら彼女がいい。きっと彼女でなくては満足できない。
そんな中、部署異動の話が持ち上がった。
これまで総務部や人事部、法務部、企画室など経営に近い場所で経験を積んできたが、一度はゴリゴリの出版業務――かつては父が所属していたこの会社の原点ともいうべき文芸編集部に行かないかと打診されたのだ。
配属初日。文芸編集部に赴くと、インターンでも世話になった吉川さんがいた。
「誓野さんは好きな作家さんとかいらっしゃいます? もしご希望があれば担当としてつけるよう調整しますけど」
文芸編集部のオフィスを案内しながらそう尋ねてきた吉川さんに、俺は素直に答えた。
「……石楠花みどり先生。ですが彼女は吉川さんが専属で担当しているんですよね?」
大御所作家・石楠花みどりと吉川ペアの話は有名だ。これまで、このふたりでとんでもない売り上げを叩き出してきた。
その成果が認められ、吉川さんは編集特別賞も受賞している。