敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
「わざわざお越しいただきありがとうございます。どうぞ、お入りください」

玄関でそう出迎えてくれた彼女は、清楚なメイクと華やかなワンピースに身を包んだ、メディアのイメージそのままの石楠花みどりだった。

部屋の掃除も行き届いている。とても家事のできないずぼら女子だとは思えない。

……聞いていた話とまったく違うんだが。

警戒されている、そう直感した。

「――後任の誓野です。これまで吉川がしていた作業は、すべて私が引き取ります。家事や雑務もすべて任せていただいてかまいませんので――」

そう挨拶するも、彼女は「大丈夫ですよ」と濁す。

「これまで吉川さんに甘えきっていましたが家事くらいは自力でやりますので。誓野さんは適宜進捗の確認に来ていただければ――」

やんわりとした拒絶だった。

やはり男性の担当では信用できないのかもしれない。男が家の中に長居すること自体、よく思っていないのか。

だがここでイエスと言ってしまっては、無理を言って担当にしてもらった意味がない。

「それでは私が困ります」

きっぱり告げると、彼女の笑顔が心なしか引きつった。

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