わたしのスマホくん
「──お父さん!!」
お店のドアを開けるなり、わたしは大声で叫んだ。大声で迷惑なのはわかってる。
「青空?」
一応頭を下げ息を切らしながら、2人のもとへ。
「スマホっ……どこにあるの。リサイクルに出すとかって持っていったって聞いたんだけど」
「え、お父さんそうなの?」
ヒロのこの感じだと、お父さんはまだ出して……ない?
「ここにある。母さんから電話が来てて、リサイクルやめてくださいって……」
これ、と小さな袋に入った桃李くんたちを受け取れば、なんだかバツが悪そうな表情のお父さん。
「……はぁー……よかったぁ」
ヒロが座る椅子に手をかけて、わたしはしゃがみこんだ。
「新しいのが増えて、電源がつかない古いものをためておくよりもリサイクルに出した方がいいと思ったんだが……焦られたようでごめんな、青空。父さんが悪かった」
お父さん、電源を確認して持って行ったのね……。無理もない。わたしがここ数日、スマホを見ながら気落ちしていたから。
「……ううん、大丈夫。でもリサイクルには絶対出さないから、今度は持っていっちゃだめだよ?」
首をふりながら伝えれば、お父さんは足をそろえ深々と頭を下げた。