わたしのスマホくん


──久々にデリバリーしたご飯を食べ、ヒロに誘われゲームをして過ごしていた。
きっと、落ち込んでいるわたしのことをおもって、あまり誘わないゲームに声をかけたんだと思う。

「そういえば、ここのステージわからないとこあったんだった。姉ちゃんなら分かるかな」
「……そんなことないって。ヒロの方がくわしいと思うよ?」
「いいからいいから」

ヒロは"やって"とコントローラーを持つわたしの手をつつく。

「青空達もそろそろお風呂の準備しとくんだぞー」
「あ、うん」
「もーそんな時間かぁ。じゃあここだけやってセーブする。そしたら姉ちゃん入ってきていいよ」

先にお風呂に入ってきたお父さんは、わたしたちの頭を軽く撫でてソファへと座る。
今のステージをクリアしてからお風呂……でも、その前にスマホくんたちの充電器ぬかないと。もう終わるころだと思うし──

「ヒロ、ごめんちょっと待ってて」

立ち上がるわたしを見て、ヒロはどこ……って言いかけたけど、何をしようとしたのか分かったのか、背中から『うん』と言ってくれたのが聞こえた。

「……過充電はよくないよくない、と」

ほとんど同じタイミングで皆を充電したから、少しやりすぎた子もいるかも……。
そう思いながらコンセントの方へ手を伸ばした。

その瞬間、リビングがものすごい光りに包まれた──
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