わたしのスマホくん
**家族**


──急に光ったことに一瞬は驚いたけど、これが何を意味するのか分かるから、わたしはまぶしいのに目を開けていた。

後ろにいるお父さんやヒロから『うわっ』と、キッチンにいるお母さんからも『なに!?』って声がした。だけど今わたしは振り向くことはしない。

だって──


『……ふぁーあ』


目の前に会いたかった5人がいるから。


「そら!!」

目をこする5人の中でいち早く、桃李くんがわたしのところへ走ってきた。

「そらっ……会いたかった。今度は人に戻れなくなったから。でもよかった……」

すりすりとしてくる桃李くんを強く抱きしめ返す。……すごく久しく感じる。

「青空」
「……碧くん」

桃李くんの後ろから碧くんがそっと近づいてくると、

「仕方ないな。今は皆にもハグゆるしてあげるよん」

桃李くんはそっと離れていき、碧くんの背中を押した。でもその勢いが強すぎて、碧くんがわたしに突っ込んでくる。

「……っ」
「ごめ……ん、青空?」

碧くんを受けとめ、そのまま碧くんに抱きしめられたら、弱くなっていた涙腺から涙がこぼれてきた。それを見られたくなくて、碧くんの胸の中に顔をうずめる。
泣いてるのを察して、碧くんはわたしの背中をさすり始めた。
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