わたしのスマホくん

すると、もう一つ頭をさする手が増えたのを感じ、ちょっとだけ顔をあげれば、

「よっ、心配かけて悪かったな。早く顔みたいなーなんて」

明華くんが笑っていて、隣では円華くんが眉間にシワを寄せていた。

「青空。僕にもして。ハグ。碧よりもっとぎゅってしなきゃ満足してあげないからね」
「俺もたのむ……って、おーい。莉雨、お前はいいのか?」

人化して、莉雨くんひとりだけが床に座っていた。

「た、立ちたいけど自分、今感動してるっ。また人になれたし、青空が真ん前にいてくれてもう……」
「ありゃ、りうー?大丈夫?」

極限まで泣かないようにしてるのか、莉雨くんは口を結ぶ。そんな莉雨くんを桃李くんが立ち上がらせてあげている。と──

「な、なんだ……この状況は」
「この男の子たち、どこから入ってきたの?」

そうだ、お母さんたちがいる前で人化したから……もう、誤魔化す必要はない。いったん碧くんたちにことわりをいれて涙をぬぐい、わたしはお母さんたちに向き直った。

言わなきゃ。最初は無理でもちゃんと信じてもらえる。
大丈夫、と自分に言い聞かせて口を開こうとした時、驚くお母さんたちを通り過ぎ、ヒロがスマホくんたちのもとへやってきた。

「よかったじゃん。スマホだってぼくに証明できたし、お母さんとお父さんの前でも証明出来てる」
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