わたしのスマホくん
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碧くんが人化した話から夏休みのこと、戻れなくなっていた話を、お母さんとお父さんは静かに聞いてくれた。
半信半疑な表情を見せながらも、最後はヒロの言った通り、目の前でどちらの姿もお披露目したところ……『疑いようがない』って言ってくれて。
お父さんは興味深いのか、スマホくんたちの周りをウロウロしてみたり、握手を要求してみたり。
お母さんは、食事はいらないの?お風呂は?って日常的な質問を繰り返していた。
否定的なことは何も言われなかったのは嬉しい。まだかんぺきじゃなくても、この非現実的な出来事を受け入れてくれたんだもの。
──寝る前までお母さんたちに囲まれていたスマホくんたちは、わたしの部屋に入るとその場に腰を下ろした。
「……と、とりあえず安心。お風呂って言われた時、自分はしぬほど首を振ったけど」
確かに……莉雨くんだけ高速で首を横に振っていた気がする。水、嫌いだもんね。
「ちょっと、青空。僕には?」
「え?」
「え?じゃないよ。僕にハグは?」
ああ……そういうこと。え、でもなんか恥ずかしいな。皆見てるから。さっきはつい、碧くんに自分からくっついたけども。
「我慢できない。ほら来て」
「お、わっ」
手を引かれそのままぎゅうっと、力が込められてしまい動けない。それに円華くんの髪がくすぐったい。
「んじゃ俺もな」
「は、おい明華っ」
後ろから明華くんにも腕が回され、2人にはさまれる。
い、今顔を上げたらいけない。いけない。