わたしのスマホくん

**


心配しすぎて、授業中も休み時間もほとんど上の空じょうたいだった。
渚に何度か具合が悪いのか聞かれてしまうくらい。言葉をにごしながら誤魔化(ごまか)したけど。


──むかえた放課後。
掃除当番ではない今週に心の中でガッツポーズをし、学校から走って家に向かうことに。

途中、途中で疲れたから歩こうとも考えたけどなんとか走りきり……

「ただいま!」

誰もいない家に入るとすぐさま部屋までまた走った。そのままの勢いで自分の部屋に入って机を確認──


【おかえりなさい】

「た、だいまっ……」

良かった。いてくれた。
ずっと悩んでいた不安が晴れ、手からカバンが床へすべり落ちていく。
一度深呼吸をし、わたしは机のスマホを手に取った。

「今なら、その姿じゃなくても大丈夫だよ」

そう言うと、碧くんは人の姿へと変わり、体を伸ばす。

──改めて見ても、すごい顔が整ってるのがわかるなぁ……。

「……ちょっと首こった。ん?……青空、走ったの?」

わたしを見るなり碧くんは不思議そうな……無表情だけど、そんな顔をする。

「ちょ、ちょっとね」
「そっか。だから髪が(みだ)れてるんだね」

天井に伸ばしていた手をおろし、碧くんはそっとわたしの髪を耳にかけた。

「少しでも早く会えてうれしいよ」

──い、今笑った?

ちょっと口角が上がってた、よね?
ふっ……ってほんの薄っすら。無表情しか見れてなかったからものすごい新鮮……。
< 13 / 122 >

この作品をシェア

pagetop