わたしのスマホくん
「あれ、赤くなった?」
そんなことを思っていれば、ずいっと顔を寄せられ反射的に後ずさる。
「だ、大丈夫!飲み物飲んで涼んでくるから!」
「そうだね、走ったなら水分補給しないと」
うん!とやたら大きな返事をして階段をかけおりる。
おりきったところで顔に手を当てれば、
「……少しあついかも」
にわかにあたたかさを感じ、今しがた見た薄っすらとした笑みが脳内によぎる──
いやいやいやっ、無表情が笑ったことでおどろいただけ。そう、おどろいただけ……水分補給。
キッチンに向かい、残りわずかだったお茶をがぶ飲みした。
「ふぅ……」
冷たくて美味しい。
それに上がってた息もすでに落ち着いて来た。
あいたペットボトルをつぶしごみ箱に入れてから手を洗い、部屋に戻ろうと振り返ると……
「わっ」
真後ろに碧くんがいたようで。
「ごめん、おりてもいいのかなって。ついてきた」
「う、うん大丈夫だよ」
キッチンを出てリビングへ行き、2人でソファに腰かけた。
「そういえば、青空には弟くんがいたよね」
「ヒロ……真宙っていうんだけどね。小学6年生でサッカー習ってるの。玄関の置きっぱの荷物を見る限りすぐサッカーしに行ってるから、碧くんは夕ご飯前に戻ってくれたら大丈夫」
「分かった。そうするよ」
表情がほとんどないけど、優しい。それに聞き分けもいい……いい子だ。わたしのスマホくん。