わたしのスマホくん
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2人……碧くんと桃李くんを机の上に置いたままお留守番をしてもらった放課後。
「ついスマホ探しちゃうな……」
置いてきたことを忘れ、ポケットやらカバンをあさってしまう。
──今日は腕時計してたんだった。
はやく帰ってきて欲しいと言われた手前、それを守ろうと急いで教室を出た。
先生がちらほらといて、今回は思いきり走れないけど、小走り小走り……。
急いだせいでローファーのかかとを折って履いてしまったのを、歩きながら直す。
──音声とか画面チカチカしてケンカとかしてないといいけど……
置いてきたら置いてきたで心配になっちゃう。
こういう急いでる時に限って信号がなかなかかわらなく感じる。
はやくかわれーと思いながら、向かい側を見ていれば、碧くんのような髪色をした男の子が──
「……って、碧くん!?」
驚きのあまり呼んでしまった口をふさぐと、信号が青になった。
軽く左右を確認して碧くんのもとへ。
「こんなところで何してるの?」
というか何で外に……?
あわてるわたしとは真逆で、碧くんはいつも通り無表情。
「ごめん。勝手に外に出て。……さっき、お母さんから連絡が入って」
「お母さん?なんて?」
「帰りに牛乳お願いしますって、買い忘れてたみたい」
「……それを、伝えるためにここまで?」
『うん』と碧くんはそのままの表情で頷いた。
「学校は地図をたどって来たから、迷わなかったけど……やっぱり迷惑だったかな」
「ううん、そんなことないよ。ありがと。……じゃあ、初めてのお買い物一緒に行ってみよっか」
「……うんっ」
碧くんは目を輝かせた。