わたしのスマホくん
**古いスマホくん**


ヒロにこの間もうちょっと先だけど、なんて言われた夏休みがあっという間にやって来た。

昨日は約束通り、桃李くんも連れて朝から学校に行き、帰りはひとけのないところで2人を人にして帰ってきた。
終始楽しそうに歩く桃李くんと相変わらず無表情な碧くんにはさまれ、すれ違う学生さんたちがチラッと2人を見ていたから、やっぱり美形は注目されることを改めて知った。



──そして夏休み初日。朝からヒロは練習合宿へ。ヒロの付き添いと仕事でお母さんも留守。お父さんは出張……と開始早々に長い留守番をすることに。

心配するお母さんたちに、

『大丈夫』

そう言って笑顔で見送った。

それで、もう1人時間がスタートしたわけだけど……

「わーい!お家の中でそらと一緒!くっつける!……あ、でもボク充電しないとかなー」
「え?もう少ない感じ?」
「残り22%。まだ大丈夫なんだけどね。もう少しそらとくっついてからにする」

リビングを走り回る桃李くんを、ただただ碧くんは立って見つめていた。

「青空は今から何するの?」
「夏休みだからね、片付けとか先にしてゆっくりしたいなって。だから普段やらないとこの部屋の掃除からしようと思う」
< 28 / 122 >

この作品をシェア

pagetop