わたしのスマホくん

「ちなみに自分は青空パパさんがポッチャンしたスマホ……」

『ポッチャン?』

わたしたちが首をかしげれば、膝をより抱え莉雨くんはささやくような声で言う。

「……水没」

あー……莉雨くんが、お父さんが水たまりに落としたって言ってたスマホ……。

「水没って、防水じゃないのか?俺は確か防水機能あったと思うんだけど……なぁ、円華?」
「ある」
「……うらやましい。自分には何も残ってないから……」

何も、とはデータのことだろうか。

「き、気にすんなって……これからの思い出を増やせばいいしな」
「ありがと。明華」

短時間しかまだ話してないけど、なんだか明華くんが5人の中でも一番しっかりしてるように見える。

「思い出……そうだ!」

パンッと桃李くんは手を合わせた。

「3に……まどかとあすかの中に、そらの何かある?」

「ないわけないでしょ?僕で遊んだかーわいい青空とか、色々ね」
「俺もあるよ。見るか?」
「見せて!」
「じゃあ後でゆっくり見せ──」
「ことわる」

桃李くんのたのみに、明華くんがこころよく頷くと同時に、円華くんはふんっと顔をそらす。

「なんでよ。いいでしょ!」
「そうだぞ?円華。減るもんじゃないんだからな」
「いやなものはいや」
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