わたしのスマホくん


「スマホ姿で見せ合いっこするんだね。んじゃボクもっ。そら、手ひらいてて」

言われた通りもう片方の手を差し出せば、桃李くんも戻り、

「やれやれ……んじゃ俺も一旦戻るとするか。青空、また後でな」

明華くんもソファの上で戻った。

にぎやかな声がいっきに消え、残った莉雨くんに目を向けると、莉雨くんは膝を抱えたままコロンっとソファに横になった。

データがないから、莉雨くんだけが元の姿に戻らない。

わたしは碧くんたちとソファにある円華くんと明華くんを机に置き、莉雨くんの隣へと座った。

ちょっとの間、沈黙が流れたけど小さい声で莉雨くんが口を開いた。

「……自分青空の写真も何もないから、まざらないほうがいいと思って」
「データはないかもしれないけど、明華くんがこれからの思い出を増やせばいいって言ってたでしょ?」
「うん」
「もし……容量があるなら1、2枚ほどわたしのこと撮ってみない?」
「え?」

莉雨くんは驚いたように体を起こした。
我ながら恥ずかしい。自分を撮ってみないかなんて。
でも、4人だけで見せ合いっこしてるのに入らないままなんて悲しいでしょ?仲良くなってほしいのに。

「……いいの?撮りたいっ」

これは予想外。莉雨くんが目を輝かせてわたしを見ている。

「ちょ、ちょっと待って髪直すから」

手ぐしでささっと髪を直し、作り笑顔にならないようほっぺたをもんだ。

「よし、どうぞ!」

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