わたしのスマホくん


──机の半分はスマホくんたちに、わたしはもう半分で宿題を広げた。

すぐ横から、

"これはいいね"
"持ってないずるい!"
"かわいい"

と声が飛び交う。

だけど、見せ合う画像がすべて自分のだから内心ものすごく恥ずかしい……。
他の写真もたくさんあるだろうに。

でも本人たちが楽しそうにしてるから、みずはささない。さっき顔を合わせたばかりだけど、親睦(しんぼく)を深めるにはいいと思うから。


【ぎゃあ!!まどか、なにそれー!そら、めたんこかわいい!!】
【うらやましいでしょ?お父さんのお土産のケーキを食べて笑う青空】
【満面の笑みじゃんか……俺も探そ】
【自分もこれから撮る】
【……うらやましい。ぼくも撮ろう】


……やっぱり恥ずかしいな。

ついスマホくんたちの会話をに聞き入っちゃって、宿題が進まない。

「集中、集中」

ほっぺたをたたいてちゃんとお勉強モードにきりかえる。


【お!俺は青空の寝顔あった。どうよ、口半開きだけど】

──え。半開きなの。絶対変な顔ですよね!?

【うー!ナイスショット!あすか!】
【だよな】
【僕のさっきの方が勝ってる。かわいいけどね】
【寝顔……】
【寝顔……】

なんか碧くんと莉雨くんが同じタイミングで同じ言葉を発したように聞こえた。

【あ!ボクの見て!つまみ食いが見つかった時のそら!】


わたしは何してるんだ……。
< 44 / 122 >

この作品をシェア

pagetop