わたしのスマホくん

「うん、ぼくは青空の寝顔撮っただけ」
「自分は撮りに来たけど撮れなかっただけ」
「はい!許さなーい!」
「あ、こら円華!朝からやめろって!」

黒い顔をして碧くんたちに迫ろうとした円華くんを明華くんががっちり押さえ込む。

「離せ明華っ、朝から青空の寝顔見ていいのは僕だけなんだから!」
「んなことないだろうが!青空の寝顔は皆共有して構わないんです!」

え、そうなの?明華くん。
わたし共有されてしまうのだろうか……。
今日から真顔で寝る練習でもしようかな。

「……もー、まどかうるさいー」

寝起きなのか桃李くんは眠そうに部屋へ入ってきた。

「僕だけがうるさいわけじゃないし!」
「あ、そらおはよー!」
「聞けよ、お子ちゃま!」

朝は円華くんのお子ちゃま呼びに桃李くんは何も反応を見せず、こうして起きたらわたしのもとへ来るのが恒例となっている。

「充電ー」

そう言って腕の中でうとうとしちゃう桃李くんがこれまたかわいい。ヒロももう少し小さかった時はこうしてお昼寝とかしてくれたのに。

今じゃ『誰がそんなとこで寝るもんか』って。
サッカーをやり出した頃からお姉ちゃん離れが始まり悲しくなったのを覚えてる。

けど悲しくなったスペースに今は、すやすやしだす男の子がいるから嬉しい。
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