わたしのスマホくん
テレビを観ていた面々もこの声のボリュームでも聞こえていたらしく……しかも寝ていたと思った莉雨くんまでもが行くと言い出した。
『俺も行きたいなーなんて……円華と桃李の暴走止める係でお願いします』
『は?何言ってるの明華、僕は暴走なんてしないし』
『ボクもしてない!』
『いやいや!だいぶしてるぞ?青空に何かあったら、絶対お前ら人化したりするだろ。だから保険として俺が行くのよ』
と、すでに朝からバッグに入っていた5台のスマホくんたち。
机に戻したら怒っちゃうと思って、そのまま連れてきた。……わけだけど──
「そのー……さ、最近古いスマホも見たくなって、持ち歩いてるんだっ……」
苦しい言い訳のような、大丈夫なような。
でも渚のことだから、きっと深く探ることも疑うこともないはず。
「……あー、なるほどね。まだ新しいスマホに慣れないとつい持ち歩いたり見たりする気持ち分かる。にしても数ありすぎじゃない?」
渚はわかるわかると首をたてに振りながら軽く微笑む。さ、さすがに5台も見たらそう思うのは正しい。
「片付けしてたら出てきて、小さい時遊んでたから起動させてたの」
「遊んでたやつかぁ。私もお母さんたちのやつで遊んだ記憶あるけど、どこに眠ってるのやらって感じだもん」