わたしのスマホくん
わたしもこの前までは、碧くんと桃李くん以外の3台は眠ったままだった。
「私も探してみよーかなぁ。案外面白い写真とかあったりするよね?」
「あるかもよ?」
「なら……探してみる。でも青空みたいにきれいではないかも」
「そうなの?」
「うん。デザインはげてた気がする。だから青空が子供の時遊んでたスマホもこの前まで使ってたのもきれいだし、大事に使われてたってわかるー」
ね、とわたしの手のひらにあるスマホくんたちを渚はちょん、と触った。
──大事、か。
小さい時はきっと遊び道具としか認識してなかったスマホだけど、今は連絡ツールとして欠かせないものだって分かってる。
それに……この5台は人化するし。
夏休みの留守番中、リビングでほとんど人として一緒に過ごしてるから、今はスマホから人、人からスマホになるのが普通みたいな日常を送ってる。
だから、今までの何倍も大事に感じてる、と思う。
「……うん。5台とも大事」
スマホくんたちに笑いかけ、そっとバッグにしまう。
──あ。
カバンの中でスマホくんたちが何やらさわいでいる……。点滅したり、なんかわたしの画像だしたり。
渚には聞こえないと思うけど、バッグの中で動いてて椅子の振動がすごい伝わってくる。