わたしのスマホくん
**事件は突然に**

──分かってた。

スマホくんたちが学校に来たことが分かった瞬間から。

イケメンがいる騒動から、学校に行った翌日。
そのイケメンといたのがわたしだとウワサされ、教室に入るなり女子につかまった。それに、他のクラスの女子もまざっている。

つかまった理由は言わずもがな。

"あのイケメンはだれか"
"どういう関係か"
"どこの学校に通っているのか"

スマホくんたちについての質問がひっきりなしにとびかい、休み時間も休まることはなく……。
質問にたいしてはうまくにごしたけど、それでも女子たちのスマホくんたちへの興味はつきなくて、放課後も"今度はいつ来るの!?"とそればかり。
とうぶん来ないかなぁ、って言ったけど。
また来たらもっと騒がれるのが目に見えてるから、5人にはちょいと厳しめに来ないよう伝えてある。

だから大丈夫だと思われるけど、はやめに帰っとこ。いつもよりだいぶおそくなっちゃったから。
それにだいぶ空がどんよりしてきたし、降られる前に帰りたい。

──晴れって予報だったのに。こんな雨降りそうなくらいくもるなんて。

はずれた天気予報に心の中で文句を浮かべながら階段をおりる。
下駄箱からローファーを取り出すと、"きゃあ!"と黄色い声が響いた──

こ、これは……

いや、でもそんなわけない。5人には来ないでねって言った。ストッパーの明華くんも、任せろって言ってたもの。

わたしは自信を持って校舎を出た。
大丈夫、これはちがう悲鳴だ。大丈夫だいじ──
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