First Light.
「母は、正直料理が出来ません。レパートリーはせいぜい玉子焼きくらいですけど、お世辞にも美味いとは言えないです」
「簡単な物ですが僕はある程度作れます。誰かの為に作る料理は好きなので苦ではないです」
お父さんが家に居なかった時、小さい私にお母さんは玉子焼きを作ってくれた。
お父さんの作る甘い玉子焼きに慣れていた私は初めて食べるほんのり大人の味がするだし巻き玉子に驚いたのを思い出した。
「不器用な上に頑固ですよ」
「もちろん、知っています」
佐伯さんはそう言いながら微笑んだ。
最初はそわそわしていたお母さんも今では緊張が解けたのか、雰囲気がいつも通りになった。
これ以上聞かなくても分かる。
お互いが大切に想いあっている事が。
結局、お母さんが幸せならそれでいいんだ。
「……2人が付き合うことに反対はしません。仮に結婚したとしても…」
血の繋がりのない家族を否定するつもりはない。
家族なんて人それぞれ色んな形があるから。
というか、そこを否定したら理人さん達を否定しているのと同じだし。
「私は貴方を“お父さん”とは呼べません」