First Light.
カラスの鳴き声が近くで聞こえて2人して驚いた。
じわじわと来る面白さにお互い顔を見合せて笑って、そこで時間が経っている事に気付いた。
「時間大丈夫か?」
「はい、一応始まるのは友達の部活が終わってからなので」
「あんたは部活入ってねぇの?」
「私は運動嫌いだから」
「別に運動部じゃなくてもさ、」
スマホの着信音が鳴り響いた。
私じゃないことはすぐに分かった。
理人さんはスマホの画面に表示されているであろう名前を見ているのに、一向に出ようとしない。
「電話出ないんですか?」
「出ない、どうせ怒られるだけだし」
「…親からとか?」
門限とか?…いや、理人さんは成人してるしその可能性はかなり低いか。
じゃあ、彼女?
そう聞こうとした瞬間、先に口を開いたのは理人さんだった。
「親じゃないよ」
酷く優しい声で、その一言を言った。
クラブで助けてくれた時のような妙にすんなりと耳に通る、そんな声で。