血だまりに咲く。 ~序
強い口調じゃないのに、相手を気圧すように聞こえた。江藤組は名取組より大きい。知ってる人なら頼みごとは断れない。と思う。
「悪いがキャンセルだ。ああ・・・埋め合わせはする、近いうちに寄らせてもらうからその時にな」
独り立ちするはずの部屋がたった今、なくなった。通話を切った桜井さんと目が合う。
「あとは晄か」
まるで隙を与えないように、もう一度スマートホンを耳に当てた仕草をわたしはただ見てる。
本気で拒絶したら、桜井さんは無理強いなんてしない。嫌なのかそうじゃないのか、自分のことなのにわからない。・・・わからない。
「・・・俺だ。要のところで香西に会った」
事務的に若と話し始めた端正な横顔を盗み見る。出世する前はなんだかもっと近いひとだった。
「あいつの引き合わせだろう、俺が面倒を見ることにした。要との約束もある。・・・そうだ問題ない、明日でかまわないな?」
兄さんがいた頃は・・・もっと笑うひとだった。
「ああ・・・一緒だ、代わるか?」
無言で差し出されたスマートホン。ぎこちなく受け取ると若の声が優しく響いた。
『急で驚いたけど、桜井さんなら安心して天音をまかせられるね。たくさん可愛がってもらうといいよ』
「悪いがキャンセルだ。ああ・・・埋め合わせはする、近いうちに寄らせてもらうからその時にな」
独り立ちするはずの部屋がたった今、なくなった。通話を切った桜井さんと目が合う。
「あとは晄か」
まるで隙を与えないように、もう一度スマートホンを耳に当てた仕草をわたしはただ見てる。
本気で拒絶したら、桜井さんは無理強いなんてしない。嫌なのかそうじゃないのか、自分のことなのにわからない。・・・わからない。
「・・・俺だ。要のところで香西に会った」
事務的に若と話し始めた端正な横顔を盗み見る。出世する前はなんだかもっと近いひとだった。
「あいつの引き合わせだろう、俺が面倒を見ることにした。要との約束もある。・・・そうだ問題ない、明日でかまわないな?」
兄さんがいた頃は・・・もっと笑うひとだった。
「ああ・・・一緒だ、代わるか?」
無言で差し出されたスマートホン。ぎこちなく受け取ると若の声が優しく響いた。
『急で驚いたけど、桜井さんなら安心して天音をまかせられるね。たくさん可愛がってもらうといいよ』