それは禁断という愛
「気を付けて下さい。」

怜奈ちゃんが席に戻った後、瀬田さんをチラッと見た。

「今度の企画、たぶん私達が採用されるから、頑張ろう。」

彼女、部長には釘を打ったと思っているのだろう。

今度も負けない。

必ずいい企画を作って、クライアント側に気に入ってもらうようにする。


そんな時だ。

もう一人のチームリーダーである、里中さんが私に近づいてきた。

「今夜、空いてる?」

「えっ?」

「俺と飲もう。あんな事があった後は、愚痴りたくなるでしょ。」

「はい。ありがとうございます。」

里中さんは安心したように、オフィスを出て行った。


里中さんは、私よりも2歳年上の先輩。

何かと気を遣って、飲みに誘ってくれる。


「頑張らないと。」

私は、マウスを動かし始めた。
< 10 / 47 >

この作品をシェア

pagetop