カラフル
「昼休み、いつもいないなぁとは思ってたけど、中庭で一緒にお昼食べてたんだねぇ」

「……まあ」


「仲良くない人とわざわざ一緒にご飯は食べないと思うんだけどなぁ」

「元々私はいつも中庭で食べてたし、陽が勝手に……」

 しどろもどろに答える。隠していたわけでもないし悪いことなんて一切してないはずなのに。

 何だか悪いことを告発されているような気分になって箸を置く。


「ふうん。じゃあ陽くんが、凛のこと好きなんだ?」

 蘭が頬杖を付いて、上目遣いで私を見据える。


「……そんなわけないじゃん」

 正直に言えばよかったのかもしれない。でも“告白された”なんて自分から言うのは気が引けた。それに――そんな簡単に口に出すべきではないと思った。


「今日のあの熱弁を聞いてたら、そんなわけないなんて思えないけどなぁ」

「知らないよ。ていうか……なんでいきなりそんなこと聞くの?」

「えー、いきなりじゃないよ? ずっと聞こうか悩んでた。けど……そのうち凛から話してくれるかなって思ってたから。でも、一緒にいる割には全然陽くんの話題は出さないし……何がきっかけで2人は仲良くなったのかなぁって思って」

「きっかけは……」

 言葉を詰まらせる私を見て、蘭が笑う。


「同じ」

「え?」

「陽くんもその辺濁すんだよね」


 陽は蘭に言ってないんだ。私と3年前に会っていること。


「別にいいけど、これだけは確認しとこうと思って。凛は、本当に好きじゃないの?」

「だから好きじゃないってば」

 何度も聞いてくる蘭に対して、少しムキになって答える。


「ならいいの」

 蘭はにこりと微笑んで、食事を続けた。


 その言葉にどんな意味があるのか、この時私は大して気に留めることもなかった。
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