歪んだ月が愛しくて3
「んー…この前と違って皆結構動けてるね。秘密の特訓とかしてた感じ?」
「自主練みたいなのはそれぞれやってますよ!ご存知の通り運動部出身の奴もいますから基礎はしっかり出来てると思います!」
「成程…。じゃあ今度は本気で向かって来てよ、あの時みたいにさ」
「っ!?」
「マ、マジ、ッスか…?」
「うん、マジマジ。手加減抜きで俺を殺す気で来てね。そうしないと俺が皆のこと殺しちゃいそうだから」
「、」
こっちの気苦労も知らないで暢気なもんだな。
何だかんだ言って立夏の奴もちゃっかり楽しんでんじゃねぇか。
まあ、色々と鈍ってる立夏には丁度良い準備運動になるだろうが、それによる弊害も少しは考えて欲しいものだ。
「ビ、ビった…。あれって態とだよな…?」
「……さあね。そうであって欲しいところではあるけど」
「アテられたかい?」
「まあ…、無意識に拳作っちゃう程度にはアテられましたね」
「ダッサ」
「お、お前だってビクッてなってたじゃねぇかよ!分かってんだからな!」
「汐ほどじゃないよ」
「何だと!?人をビビリみたいに言いやがって!」
「ふふっ、駒鳥が楽しそうで何よりじゃないか」
「……そうですね」
「(た、のしそう…?)」
「(あれが?)」
立夏は気付いてないだろうな。
お前の首に付けられた傷に神代会長の目が嫉妬に駆られていたことなんて。
他人の機微には敏感なくせに、他人から向けられる好意には人一倍鈍感な立夏からしたら想像も付かないのかもしれないが、そろそろ自覚しねぇと本当に面倒なことになるぞ。
てか、八重樫と会うなら会うで連絡くらい入れろよな。
結果的に高屋の登場でこっちもそれどころじゃなかったが、もし万が一何かあってもフォロー出来ねぇだろうが。