歪んだ月が愛しくて3



「……何その手?気安くシロに触ってんじゃねぇよ」

「だそうだけど?」

「うっせぇな。小姑かよテメーは」

「アンタの小姑になった覚えはない。いいからシロから離れろ。シロが汚れんだろうが」

「人をバイ菌扱いしてんじゃねぇぞクソナツ。そんなにシロが欲しかったら可愛くおねだりしてみろよ。シロ〜お願い、可哀想なボクちんを抱きちめて〜ってな」

「死に晒せクソ野郎」

「クソはテメーだって言ってんだよ、この泣き虫小僧が」

「本当仲良いね、君達」

「「どこが(だ)!?」」



そこだよ、そこ。

息ぴったりな2人のツッコミを無視して、俺はヤエの腕を払い除けてから松田さんの元に向かった。



「松田さん、連中のことよろしくお願いします」

「お任せ下さい!」

「それと連中にはちょっと聞きたいことがあるのである程度痛め付けたらヤエに替わって下さい。だから口の中はほどほどに、喋れなかったら意味ないんで」

「御意!」

「いや、何度も言ってますけど、俺ヤエじゃないんでそう言う畏まったのいりませんから…」

「こっちも何度も言ってますけど、そう言うわけにもいかないんッスよ。何せ貴方の存在は若やナツだけでなく組全体にとっても重要な…「まぁ〜つだぁ〜」



その声に松田さんが小さな悲鳴を上げる。



「テメー余計なこと言ってないで仕事しろやタコ。とっととそいつ等を檻にぶち込んで来い。そんでクソしてマスかいて寝とけボケカス」

「イ、イエッサー!」

「松田さんカワイソー…」

「シロ、それ以上アイツのこと庇うともっとアイツが酷い目に遭うよ?」



マジか。

下手に口挟めないじゃん。



「で、では白夜叉殿!俺はここで失礼しやす!」

「ハーイ、ヨロシクオネガイシマース」



松田さんの運転で黒服達を乗せたワンボックスカーが颯爽と去って行く。
残ったのはヤエとナツ、そして岩城くん達を乗せたワンボックスカーとヤエ専用の黒塗りの高級車だけ。



「じゃあこっちは俺が運転するか」

「「は?」」

「は?何が?」

「こっちって…、シロが運転する気だったの?ワゴンを?単車じゃないんだよ?」

「ん?分かってるけど?」

「バカか。誰がテメーに運転させっかよ。事故起こして下さいって言ってるようなもんだろうが」

「失礼な。俺だって運転したことくらいあるよ。無免だけど」

「知っとるわ。だからテメーは端っから論外なんだよ。大人しく俺の車に乗っとけ」

「待って。シロに運転させたくないってのは同意見だけど、何でそれでアンタの車に乗ること前提で話進めてんだよ?俺が運転するワゴンでもいいだろう」

「まあ、確かに…」

「確かにじゃねぇよ。テメーをそんな安っぽい車に乗せるわけねぇだろうが。万が一にもぶっ放されたら被弾せずに貫通すんだぞあの車は。そんなに死ねてぇのかテメーは?」

「誰もそんなこと言ってねぇだろうが。話が飛躍し過ぎなんだよ」

「テメー…この俺が誰だか分かってんのか?天下の白桜会の若様だぞ?いつどこでタマ狙われてっか分かんねぇくれぇ真っ当な生き方してね…「ごめんナツ。ヤエが面倒臭ぇからあっち乗るわ」

「はぁ…(死ねクソヤエ)」

「ナツ、岩城くん達のことよろしくな」

「……分かってるよ。シロの大事なセンパイだからね」


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