歪んだ月が愛しくて3
「まもちゃんが、あの神代のトップ…」
そして会長と未空のお祖父さん。
つまり会長と未空は従兄弟…。
「何、肩書きだけじゃよ。こうして暇を持て余してるのが何よりの証拠じゃろう?」
「………」
その言葉を鵜呑みに出来るほど俺は無知ではない。
肩書きだけ?そんなわけない。
今はこうして笑ってお茶しているが、日本を背負って立つ神代財閥総帥のまもちゃんの存在は本来なら俺なんかには手の届かない存在だ。
肩書きだけの案山子がこんな目をするはずがない。こんな…、人間の心の奥底を数え切れないほど見透かして来たような目を。
そんな人にまもちゃんって…、今更だけど子供って恐ろしいな。
「そのこと…、父さん達は知ってたの?」
「勿論。ただ当時幼かったリリーには伝えていなかったんじゃろう。父上の配慮じゃよ」
配慮ね…。
まあ、当時聞いてたとしても神代が何なのか理解出来なかったと思うけど。
「未空を車に乗せる時、多少強引だったことは認める。そのことでリリーに要らぬ心配を掛けたなら謝罪しよう。だがああでもしないと彼奴は帰って来んからな…」
「そうなの?確かに実家に帰る気はないみたいなこと言ってたけど…」
「彼奴にとってはここにいるより学園にいた方が気が休まるんじゃろう。彼奴はここにいることを…、自分が“神代”であることを引け目に感じているからの」
「引け目?」
「彼奴が何故“仙堂”と名乗っているか、その理由をリリーは知っておるか?」
「何でって、そんなの…」
外孫だからじゃないの、と言い掛けてやめた。
普通に考えたらそうだ。それしかない。
でも…、
『その様子だと、あの噂は本当みたいだな』
『精々優秀な生徒会長様に感謝すんだな』
……まさか。
いや、違うとは言い切れない。
覇王の一員であるはずの未空を蔑む一部の声。
他の覇王3人とどことなく似ている言動。
そして会長とは似ても似つかないあの容姿。
それは外孫と言う理由だけでは説明出来ない違和感だった。
「儂と未空は血が繋がっていない。彼奴は聖が養子に迎い入れた未子で、尊の義弟なんじゃよ」