白いカーネーション
大学の夏休み、バイトを理由に、実家に帰る事を躊躇っていた私を、友人がキャンプに誘ってくれた。

料理の段取りに慣れていない友人を他所に、私は黙々と夕食の下ごしらえをしていた。

「赤坂さんって、料理上手いでしょ。」

友人が連れてきた男性陣の一人が、話しかけてきた。

サークルは一緒だって言ってたけれど、確か学部が違うと言っていた気がする。

「う~ん、どうかな。」

「周りに言われた事ない?例えば彼氏とか。」

「いや、私彼氏いないんで。」

片手にじゃがいもを持ちながら、手を大袈裟に振った。

そのはずみで、じゃがいもが私の手を離れ、大きな弧を描きながら、遠くへ飛んで行った。

「わっ!!」

隣にいながらナイスキャッチをしたその人。

可笑しくて二人でお腹を抱えながら、大笑いした。

それが三ヶ月後、私の初カレになる高史との、出会った時のエピソードだった。

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