婚約者が浮気をしたので即別れることにしたら、溺愛されることになりました。
 メアリーはいきなり私の平手打ちを受けて痛みに目を見開いたし、ニールは驚いて私の名前を呼んだ。

 私はメアリーの顔をじっと見つめたまま、彼女に言葉を返した。

「お返ししたの。ニールの頬を知らない女性に張らせたでしょう? こんな……幼稚な手で、ニールが貴女と結婚したくなるなんて、どうしても思えないけど」

「なんですって!」

「ニールのことをそれほどまでに好きなことは、私にもわかったわ。けれど、こんなことをしていて、彼に好かれるとでも? ……残念ながら、ニールは私と結婚するの。私と彼の仲を裂こうとしてももう無理よ! 私が貴女の存在を知ったもの……二度と誤解なんてしないわ。残念でした」

「なっ……」

 メアリーはここで私が反撃するなんて、思わなかったのかもしれない。呆気に取られた顔をしていた。

「……その通りだ。メアリー。もう僕に近寄らないでくれ。迷惑だ」

 ニールはうんざりした様子で言い、彼女は悲しそうに顔を歪ませた後、身を翻し去って行った。

「ニール……ごめんなさい。貴方は彼女のことを知らないって言ったのに」

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