ひとつ、ふたつ、ひみつ。
「あ、あなた……誰?」

やっと、まともに声が出た。
腰は抜けたまま、立ち上がれないけど。

「すみません。座標(ざひょう)は、人のいないところにしたつもりだったんですが、ズレてしまったみたいで。おかしいな、人の家に入れるわけないんだけど……」

さっきから、何を言っているのかまるで分からない。

「なんの話ですか? し、下着泥棒……ですか? ありません、うちには下着ありません……っ!」

動揺して、変なことを口走ってしまう。

落とした傘を、なんとか手探りで見つける。

「まさか! 俺はただ、過去に……18年前に行くだけのつもりで──」

本当に何を言っているのか分からないイケメンが、ハッと何かに気づいたように言葉を止めた。

そして、辺りを見回して。

「……あれ? 俺が知ってる日本じゃない……?」

がっ、外国人の下着泥棒ですか……!?
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